Gerald Bosch, Trade in Genertela, 1994; Introduction - Transportation |
輸送 |
Transportation |
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf |
A地点からB地点までの商品の輸送手段は交易を理解する上で不可欠である。輸送手段には4つあり、コストのかかる方から少ない方へ順に記せば、人力、駄獣、荷車、水運となる。
もっともコストのかかる輸送手段は商品を手で運ぶことである。人間は駄獣よりも弱く扱いにくい。だが、人間は動物が耐えられないような状況でも自らを適応させることが出来る。
駄獣は人間よりも運搬能力において優れている。駄獣の種類によっては、起伏地でも他の場所でもこれを乗り越えて行くことが出来る。だが駄獣はさまざまな病に罹りやすく、環境にも左右されやすい。また、餌と水を与えてやる必要もある。荷を運んでいる駄獣に勝手に草を食ませておくことは出来ないのである。駄獣が地に覆う青草を探してあたりをうろつく間、これらはA地点からB地点まで荷を引っ張ることは出来ないのだから。
駄獣の商品を運ぶ能力は荷車をひかせることで飛躍的に高めることが出来る。問題は、荷車が比較的平坦で開けた地面や道路を必要とすることである。ジェナーテラの一部では優れた道路網に恵まれているが、ほとんどの場所ではそうではない。
遠ければ遠いほど距離対費用のコストパフォーマンスが向上するのは水運である。近代においてさえ、かさばる商品を運ぶのには短い陸路を行くよりも長い海路を行く方がだいたい望ましい結果になる。例えば、合衆国の一方の岸からもう一方へかさばる商品を運ぶのには鉄道よりもパナマ経由の船便が用いられる。しかも、水運は大概において[陸路]より早いし安全性も高い。18世紀の例では、ボストンからロンドンへ手紙が着く時間の方が、ロンドンからアイルランド西部へ手紙が着く時間よりも短かった。
陸路の長距離交易はほとんどの場合、かさばらず非常に高価な商品でのみ可能である。ヨーロッパ-アジア間の香料貿易や絹貿易が好例である。だがこのような[採算が合う陸路の]交易でも、可能な限り河川や海を使った。これに対して、インド綿貿易は安全なアフリカ[の港々]をつないでいく海上航路でのみ可能であった。
グローランサのキャラバン交易は「大閉鎖」によって非常に活気付いたが、今は海上交易との競争によって徐々に衰退していっている(1) 。冒険者がキャラバン隊と遭遇するとき、彼らが非常に高価で持ち運びやすい商品を運んでいるであろうことは間違いない。