Gerald Bosch, Trade in Genertela, 1994; Regions - Manilia |
マニリア |
Manilia |
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf |
マニリアは富裕さにおいてクラロレラ、ペローリアについで第3位を占めている。マニリアのさまざまな富に加え、地政学的優位がこの富裕さを支えている。ケタエラはクラロレラ、ペローリア、西方をつなぐ交易の十字路を成しているのである。
この地域ではイサリーズのカルトがもっとも盛んであるが、ロカーノウス、エティーリーズ、アーガン・アーガーといった諸カルト、あるいは西方の商人も活躍している。世界に広がる貿易網に支えられて、ノチェットの都市はジェナーテラ最大のイサリーズの寺院を誇っている。ルナーの占領を免れている地域のほとんどでは、イサリーズの信者が僅かに優位を占めている。ルナーの支配地域では、政府はエティーリーズのカルトに租税優遇措置を含むさまざまな便宜を図っており、さらにイサリーズ・カルトには特別税を課している(ロカーノウス、アーガン・アーガー、西方の商人が租税優遇を受けることはほとんどないが、特別税も課されない)。
ケタエラはマニリアでもっとも富裕な地域である。コラリンソール湾を舶来する商品は大陸規模の国際交易によって非常に盛んである。交易ではこの地方の産物の輸出も、世界中の商品の中継貿易も行われている。そういった事情で、「ケタエラ人」という言葉はブローカーを意味する言葉にまでなっている。交易だけでなく、マニリアそれ自体が富裕でもある。
エスロリアは世界のあらゆる穀物生産地に比べてももっとも生産性が高い。これがこの地の人口密度を維持しているばかりでなく、マニリアの他の地方や西方へと輸出されている。エスロリアの地域的な交易はもっぱら村に依拠したものであるが、しばしばこうした地域的な市場はもっとも近い都市と結びついている。
イサリーズの商人はサーターやヒョルトランドといった高地で原毛を仕入れ、ノチェットに運んでいる。この都市は世界でもっとも熟練した毛織物職人たちを支えている。完成品はマニリア全域で、あるいはペローリアや西方で売られる。
カラドラランドは開けていないものの、数多くの価値ある商品の生産地であり、これをケタエラの商人たちが輸出している(2)。ジェムボーグのモスタリはジェナーテラの宝石のほとんどを供給している。この地域はジェナーテラにおける錫の供給地でもある。現在、カラドラランドの肥沃な火山性丘陵の斜面では事業家によって輸出用のコーヒーと粉トウガラシが進められている。
ヒョルトランドやドラゴン・パスといった地域ではほとんど自給自足の生活を送っている。この地では、その地方の氏族たちが定期的に集まるとき、そこに市場が立つ。その一方で、この地域の多くの都市は商人たち自身に運営されている(3)。こういった商人たちは高価な外国からの輸入品、奢侈品、都市の手工業製品を氏族に売って、代わりに原毛や上質のウィスキーを得ている。サーターから周辺地域(プラックスも含む)への林檎酒の輸出も盛んである。商人たちは非常に需要の高いグレイズランド馬を、機会があればいつでも買おうとしている。地方の商人たちは真の石やプラックスの民芸品をマニリアの他の地域やペローリアへ再輸出している。他には、ドラゴン・パスではトロウルの製品がまず確実に手に入る。トロウルの製品では虫から作られるもの[媚薬など]が名高い。そして、ストーム山脈はジェナーテラの銀の2分の1を供給している。
この地域はケタエラに近いために穀物が安く、ペローリアとの交易も盛んである。エスロリアの製品やエスロリアに入ってきた舶来品はサーターまで川を遡るか、危険を冒して獣の谷やアップランド湿原を越えなければならない(4)。賢王サーターと彼の後継者たちは王国中に街路をめぐらし、舶来品がターシュを抜けてペローリアに至るのを可能な限り容易なものにした(いったんファーゼストに達すれば、再び河川輸送が可能となる)。イサリーズの商人、マスターコスの御者、課税額査定者など、あらゆる者がこの南北の大動脈におけるこの[サーターという]結節点から恩恵を被っている(5)。
ウェネリアという広大な地域では交易業が停滞している。かつてはそうではなかったのだが、大開放後、ウェネリアを横断するキャラバン隊は急速に海上交易にとって変わられつつある(6)。こういう状況の中、最大の利益を得たのはハンドラの港町である。ハンドラはケタエラと西方をつなぐ便利な海運の中継点となっているばかりでなく、ラリオスから至る河川交通の終着点となっている。ウェネリアでは、ヒョルトランドやドラゴン・パスと同じように氏族関係に基づく市場が形成されている。
ミスラリ山脈は[ジェナーテラで]有数の銅の産地である。ニミストール [Nimistor] 川とソランティウス [Solanthi] 川には莫大な銅が沖積されており、これを「交易公 [the Trader Prince] 」が仕入れて輸出している。
ハンドラ港は年々その重要性を増している。ハンドラはケタエラ向けのラリオスの商品、とりわけ手工業製品と銅の最大の積み替え地であり、もちろんラリオス向けのケタエラの商品の積み替え地でもある。また、ハンドラ自身ジェナーテラにおける主要な染料の生産地でもある。ウェネリアの沿岸ではさまざまな種類の貝が採集されてはハンドラに輸送されているが、これをハンドラの職人がすりつぶし、[染め木から作るのとは別の]染料をつくっている(7)。染料は中央ジェナーテラおよび西方の主要な繊維製品製造地へと商われる。