ロカーノウス
Lokarnos
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/TradeinGlorantha.pdf

 ロカーノウスのカルトは主要な交易カルトの中ではもっとも古い。ロカーノウスは車輪、荷車、貨幣を発明し、商人と御者の守護神となっている。ロカーノウスのカルトは、太陽神殿の交易の神にふさわしく、非常に保守的である。ロカーノウス信者は経理システム、信用状、保険といった商業上の新しい手段を軽蔑している(1)。ロカーノウス信者は金輪貨以外の貨幣の使用を禁じられており、[銀貨や銅貨といった]補助貨幣を正貨として認めていない。彼らは時に第三者が認めるだけの重さと価値を持つ宝石を[貨幣として]用いる(2)

 太陽神殿は不変たる天上の位階の理念に沿って構成されている。この理念は太陽信仰が支配的な地域の社会構造にも反映されている。天象図のように各人はそれぞれ定まった社会的位置を占めており、その位置に応じた権利と義務を有している。この理念から言えば、ロカーノウスの商人は社会に奉仕する側に立っており、奉仕の代償に社会から保護を受ける立場にある。

 クラロレラやダラ・ハッパといった太陽信仰が支配的な地域では、ロカーノウスの信者は互いにさまざまな商品交易の独占権を得ようと王の寵を競っている。ロカーノウスの商人はこうした商業上の保護に対して、[商業上の]納税を義務付けられている。彼らは太陽神殿の位階の中で、商業政策と公定価格を決定する立場にあると思われる(3)

 もちろんすべてのロカーノウスの商人がこの理念通り、というわけではない。


  1.   地球の歴史では、ハンザ同盟が実際にこういう態度を取り、アウグスブルクやフィレンツェの銀行家たちに市場を奪われていった。

  2.   貴金属と異なり、宝石は傷がつくとその価値が激減する。ロカーノウスの商人はこの問題をどう解決しているのだろうか?
     ホイール金貨を分断したスポーク(1ペニー相当)より小額の決済については、砂金か、あるいは穀物などで解決できるであろう。むしろ問題となるのは、非現実的な量の金貨を用意しなければならない超高額決済であるが、結局、ロカーノウスの商人はその商人個人が準備できる金貨以上の取引は行わないのかもしれない。

  3.   商業政策を決定する立場、とは財務長官のことであろうが、彼は公定価格の決定や税の出納の管理、大商人への特権の与奪、などを担っているのだろう。
     公定価格とは、同業者が一斉に値を吊り上げて社会不安を増すようなことを避けるために設けられている。ギルドは、同業者の中から一人だけ安売りをして出し抜こうとする商人を抑制しているが、一方で公定価格に反する価格の吊り上げはギルドが決定している。ふつう、公定価格は何十年も変えられず、一方物価はほとんどインフレ傾向にあるから、公定価格は安すぎる値になりがちであり、商人たちは隙を見ては値を吊り上げようとしている。こうした不逞な商人を取り締まるのが市場監督官であるが、商人たちはこの官吏に金を掴ませて黙らせるのが常である。ただし、飢饉の時には市長が軍隊を発して公定価格を守らせることもある(もちろん市長まで腐敗している街もあるだろう)。