計算例
病気は、強度1で罹患率 5% 、強度2で罹患率 15% 、強度3で罹患率 30% としておく。『レ・ミゼラブル』のファンティーヌが死ぬ寸前の状態は、強度3であろうか。
1622年地の季28日のエミーネ・ハナルダは、病気を持っておらず、交渉修正値は +7 。技能には、〈娼妓〉05% 、〈舞踏〉05+6% 、〈演奏〉00+9% 、〈歌唱〉05+7% 、〈雄弁〉10+7% 、〈言いくるめ〉05+7% 、〈詩歌〉05+5% 、〈物語〉05+5% があり、〈雄弁〉が最も高い。
したがって、彼女の一晩の価格は、
20 ÷(0÷3) ×7 ×[5÷25] +(17-5) = 28 +12 p.
サンディ・ピーターセン氏の描く“罪深き”グンダは、病気を持っておらず、交渉修正値は +18 。〈娼妓〉05% で、規定技能中の最高は、〈雄弁〉35+18% 。
したがって、彼女の一晩の価格は、
20 ÷(0÷3) ×18 ×[5÷25] +(53-5) = 72 +48 p.
罹患率 30% の病気を持ったサキュバスは、交渉修正値は +20 。〈娼妓〉90% で、規定技能中の最高は、〈雄弁〉とかが 5+20% 。
したがって、彼女の一晩の価格は、
20 ÷(30÷3) ×20 ×[90÷25] +(25-5) = 144 +20 p.
これらの計算例のうち、比較的実例に近いエミーネにして、日本円で、56,000 +24,000 円はやや高いような気もするが、時間は一晩、すなわち7時間強である。
芸者遊びにどれくらい時間をかけるかは文化にもよるが、18世紀後半、パリのパレ・ロワイヤルに詰めていたコルテザンは一晩に四人しか客を取らず、従来の30分に一人を相手にしていた娼婦よりも情が細やかで好評を博したという。この、高級娼婦は一晩の4分の1、普通の娼婦は一晩の14分の1、というのは一つの指標になるだろう。エミーネなら、2時間弱で 10 p.(20,000円)、30分で 2.5 p.(5,000円)である。
このように大金を稼ぐ娼婦であるが、この商売を始めるにはほとんどどの社会でも当局の許可が必要であり、流しの娼婦は客に足元を見られることになる。
娼館に囲われた娼婦たちは外出することができず、日常品は女将が揃えた品物を通常よりはるかに高価な値段で買わなければならなかったため、その生活は日給 16 p. レベルである。
病気などで普通の労働ができずに娼婦に身をやつしている者や、流しなどは客が取れなかったり、足元を見られたりで、その生活は日給 4 p. である。
いずれにしても、一般の女性よりは裕福であるが、彼女たちはほとんど法の保護を受けることができない。とりわけ、娼婦に対する強姦には咎めがない。(娼館は、このような「ただ乗り」を防ぐわけである。)
|