おしゃべりについて
about the Speaking
 

 しばしば劇中では、戦闘中に互いに名乗りあったり、罵りあったりしているが、これらが戦闘およびその他の行為に及ぼす効果についてはルールに規定がないので、この際はっきりさせておこうと思う。

 まず、言葉を発する者は、その者の DEX ストライクランクにおいて語り始められるものとする。

DEX ストライクランク
DEX 1-9 10-15 16-19 20+
SR 4 3 2 1
 

 おしゃべりに要する時間は、1音節あたり 1SR とする。これは、日本語のような膠着語、英語のような屈折語、中国語のような独立語、すべて自然言語においてそうである、としておく(符牒のような人造言語はこの限りではない)。例えば、

お食事は/ 済ませ/ ました/ か? (4SR)
Do/ you/ have/ a meal ? (4SR)
吃/ 飯/ 有/ 没有? (4SR)

余りにも長い単語(普通は複合語)は、語素ごとに 1SR を費やさなければ伝わらないことが多いことは併記しておく。(例えば、supercalifragilisticexpialidocious は、super/ califragilistic/ expiali/ docious となる。)また、略語は一単語とみなしうる。(例えば、Senatus Populusque Romanus は3語だが、 SPQR で1語とする。)
 息継ぎは、CON に等しい値の音節までにしなければならないものとする。だが、通常は文節ごとに息継ぎをすれば十分である。ただし、著しく CON の低い者は、一文節中にも息継ぎを挟まなければならず、聞き取りにくいものとなる。息継ぎに要する時間は 1SR である。

 かような秒刻みの処理は、戦闘中以外は無用であり、単にこの人はまくし立てる、この人は息切れしがちである、といった表現に用いるにとどめてかまわない。

 一方、戦闘中のおしゃべりには時間の制限に加え、同時行動の要素が加わる。
 一般に、喋りながら行うすべての行動には、-5% の制限が課せられるものとする。例えば、ある者が敵と切り結んでいる最中に、「お前たちはその岩陰に身を隠せ!」と言うなら、この言葉を発するラウンドの攻撃と防御はそれぞれ -5% を加算する。そうではなく、「逃げろ!」と叫んだ後に攻撃する(POW SR + 「逃げろ!」1SR の後に戦闘 SR を計上する)のなら、その攻撃にペナルティーは課されない。

 弁舌に自信のある者は、舌先によって相手の剣を収めさせようとするかもしれない。また、指揮官は的確な命令を発する必要に迫られるかもしれない。だが、そのような込み入ったメッセージを戦闘中に送ることは困難である、と想像せざるを得ない。
 そこで、戦闘を含む何らかの行為中に交渉系および知識系の技能を用いる場合、その交渉系および知識系の技能値の範囲内で、適用する値を決定し、その値を同時に行使する戦闘を含む何らかの行為から減じるものとする。ただし、上述の喋りながらの行動の制限に従い、5% 以下の技能の使用でも、最低 5% は同時に行使する行為から減じられる。
 例えば、〈指揮〉を 86% 持つ者が、40% の〈指揮〉で指揮を行うと決めた場合、彼の攻撃および防御の技能は一律 40% を減じる。このとき、ロールで 56 を出した場合、彼は〈指揮〉に失敗するが、攻撃および防御の技能のペナルティーは変わらない。
 また、交渉系および知識系の技能を行使中、アーマーを超えて1点でもダメージを受けた場合、その行為は中断され、無効とする。
 ただし、技能ロールに失敗したり、中断させられたりした場合でも、メッセージが伝わることに変わりはない。

 古今の劇を通じて、攻撃をしながら叫ぶ者は非常に多く、そこに何らかの効果があるように見受けられる。
 これを表現するにあたり、ルールでは、攻撃成功率から 5% を減じるごとにダメージ判定の際に振るダメージ修正値のダイスの目に 1点加算することとする。また、ダイスの目と加算値の合計がダメージ修正値の最大値を超えた場合は超えた分を無視する。ダメージ修正値が 0 およびマイナスの者でも、1点の加算は保証される。
 例えば、+1D6 のダメージ修正値を持つ者が渾身の気合を込めて、剣を振り下ろすとする。彼は 3 点を追加することに決めた。攻撃成功率は 15% 減じられる。彼はダメージ修正値分のロールで 5 を出し、5+3=8 となるところ、上限が 6 であるため、ダメージ修正値に +1 するにとどまる。

 このような気合を入れるためのシャウトは、一音節が適当であり、それ以上の言葉は通常の喋りとして処理する。
 例えば、「貴様への数々の恨み、思い知れーっ!」と言う場合、シャウトは「思い知れーっ!」であり、「貴様への/ 数々の/ 恨み」は3音節分の喋りとして、上述のルールの適用を受ける。すなわち、喋り終えてから行動するか、ペナルティーを覚悟して喋りながら行動するか、である。

 ちなみに、戦闘中の行為でも、移動はペナルティーの対象とならない。

 長期の行動におけるお喋りは、行動の成果から 5% を減じることとする。例えば、喋りながら機を織る者は、時間当たりの織る量が通常より 5% 減じられる。また、喋りながら荷造りする者は、通常より 5% だけ余計に時間がかかる。喋りながら歩く者は、時間当たりの進む距離が通常より 5% 短くなるか、同じ距離なら 5% 余分に時間がかかる。
 お喋りしながらの長期の行動に関するペナルティーは以上のものだけで(上司に怒られる、などは除く)、疲労度などには関わりない。メリットとしては情報の入手や親密度の向上が考えられる。